企業分析

【2021年最新】大手内資系製薬企業「売上高・ROA」ランキング

2021年も5月となり、大手製薬企業の決算発表が一通り終わりを迎えました。

上位10社の顔触れは大きく変わらないももの、その内2社は昨年よりも売上高順位を伸ばしています。

今回は2020年12月期及び2021年3月期を元に売上高、ROA(総資産利益率)でランキング化しました。

売上高TOP10ランキング

最新の売上高が揃いました。国内製薬企業の上位の顔触れは変わらずで、1兆円を超える企業は、武田薬品工業、大塚ホールディングス、アステラス製薬の3社です。

製薬業界全体としては市場がダウン傾向にありますが、その中で大きく伸ばしているのが中外製薬です。

また大日本住友住友製薬も海外売上の拡大が寄与し5000億円を超えてきました。

1位:武田薬品工業

シャイアーの買収を経て、売上高は大きく伸長しました。

長年国内では最大手に位置していましたが、2位以下を大幅に突き放す結果となっています。

2位:大塚ホールディングス

数年前に抗精神病薬が米国で特許切れとなったことで数千億円の減収となりましたが、着実に回復の道をたどっています。

ホールディングス傘下には大塚製薬、大塚製薬工場、大鵬薬品をはじめとする企業が連なっており、輸液から循環器、抗がん剤など幅広い領域をカバーしています。

3位:アステラス製薬

近年製薬事業以外にも新規事業開発に力を入れています。医薬品の収益性が低下しつつある中で、新たな製薬企業のビジネスモデルを模索しています。

4位:第一三共

ここから向こう数年間、大きな巻き返しが期待される第一候補です。

2025年には約1.6倍の1兆6千億円の売上高を目指しており、それを実現するためのパイプラインも豊富にあります。過去数年の停滞から一気に飛躍を遂げるかもしれません。

5位:中外製薬

ロシュとの戦略的提携をはじめ独自の路線を歩んでいます。かねてよりがん領域に注力しており、医療関係者の中でも抗がん剤といえば中外製薬がでてくる程のプレゼンスの高さがあります。

6位:エーザイ

認知症治療薬の特許切れにより10年近い厳しい時期を経て、過去最高の利益を更新しました。

目下米国では同領域での待望の新薬誕生が期待されています。

7位:大日本住友製薬

国内市場での苦境を海外に活路を見いだし売上を伸ばしました。しかしながら、主力製品の特許切れを間近に控えていることもあり予断を許しません。

8位:田辺三菱製薬

三菱ケミカルホールディングスの100%子会社になり、巻き返しを図っているところではあります。しかし、足元をみると著しく厳しい経営環境下にあります。昨年度まではなんとか黒字を確保しましたが、ついに約500億円の赤字に転落しました。

9位:協和キリン

前年からプラス成長となりました。主力製品のオーソトライズドジェネリックを発売したことで減収幅を低下させたことが寄与していると考えられます。

10位:塩野義製薬

感染症領域に強みを持つ同社ですが、2020年度はCOVID-19の影響を大きく受けました。市民の感染症予防効果により、インフルエンザが例年にないほどに抑え込むことができました。

その結果抗インフルエンザ治療薬の売上が大幅に減少し減収となっています。全世界で待ち望まれている新型コロナウィルス治療薬の開発で巻き返しを期待されます。

ROAランキング

2020年12月期及び2021年3月期の売上TOP10企業に絞り、各社決算報告からROAを算出して平均値をROAランキングにしています。

※当ブログでは総資本純利益率をROAとしています。

ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのか示す、企業の収益性を見る指標です。純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報となります。ROAを理解する事で、その企業の事業モデルがどれだけ効率的か理解する事に繋がります。効率的な事業モデルの企業は中長期的な未来を考えても効率良く収益を上げてくれる事を期待できます。ROAは利益を総資産で除して算出します。またROA=利益率×総資産回転率で出す事も出来ます。一般的に利益率の高い業種は、金融系、IT系などが。総資産回転率の高い業種は、小売業、卸売り業、飲食業などに多く該当します。

製造業のROAは5%を下回る傾向に有ります。医療機器に絞ると中小企業のROAは著しく低く、それだけ負債を抱えている可能性が有ります。精密機器を扱う医療機器企業はROAが高く成る傾向に有ります。
参考:内閣府 製造業企業の収益性と生産性

下記の図の様に、ROAを指標として見る際に利益率の高い企業なのか?総資産回転率の高い企業なのか?分解してみる事でその企業の特徴を理解する事が出来ます。

それでは結果を示します。

ランキングをみて驚いた方も多いのではないでしょうか。

なんと中外製薬が圧倒的な数値の高さで1位でした!

次いで塩野義製薬となっています。最大手グループの武田薬品工業、第一三共は以外にもROAは低いことも見て取れます。

年々新薬開発の費用はかさみ、資本の効率性は下がっています。向こう10年間勝てる企業はどこなのか?このような観点から数値をみると新たな発見があるかもしれません。

注意 免責事項
当医療機器業界企業ランキング(2020年)は上記企業の有価証券報告書に基づき掲載しております。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。掲載企業に関しましては今後できる限り多くの企業を反映させるよう努めていますが、全ての企業を反映したものではありません。あらかじめご了承ください。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しましては、必ず各企業の有価証券報告書にてご確認ください。