MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業の現在と将来性をトリプルと一緒に見て行きましょう!
※MedTech:Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IoTなどのテクノロジーを医療に活用する取り組みも含めた言葉
目次
HOYA株式会社とは
2020年3月期業績
売上高 5,765億円 ライフケア事業 3,750億円
営業利益 1,472億円
当期利益 1,145億円
従業員数 36,795名(2020年3月期連結)単3,020名
平均年齢 46.3歳 平均年収 845万円
参考:HOYA株式会社 IR情報
会社四季報
特徴
アイシティで身近なHOYAですが
1941年に光学ガラス専門メーカーとして創業しています。当初はクリスタルガラス食器製造を行っており、ヘルスケア事業には着手していませんでした。その後60年代にメガネ用レンズ製造開始。70年代にはソフトコンタクトレンズ製造を開始するなどして持ち前のガラス加工技術を活かした事業展開でヘルスケア分野に参入しています。
現在の事業セグメントはライフケア事業 65%、情報・通信事業が35% と成っています。ライフケア事業はヘルスケアとメディカルの2事業に更に分類され、ヘルスケア事業はコンタクトレンズ、眼鏡レンズなど眼科領域で高い売上を誇ります。メディカル事業では、医療用内視鏡、眼内レンズ、人工骨・インプラントなどを製造販売しています。
海外の売上比率は72%、従業員の約90%が外国人です。地域別売上は米国16.9%、アジア・オセアニア34.6%、欧州19% 、日本28.3% 特に中国での拡大が成長の牽引役を担っています。業績が好調な医療機器メーカーの共通点海外売上比率の高さはHOYAに置いても共通点と言えるでしょう。
TOPIC
積極的な海外企業投資
2015年以降積極的な海外企業への投資を加速させています。下記にこの5年の投資先を記載します。眼科関連の企業に積極的な投資を継続している事が伺えます。
2015年
・滲出性加齢黄斑変性治療用デバイスのベンチャー企業 SalutarisMDに出資
・PENTAX Medical、英Creo Medical 社へ出資
・スイスのメガネレンズメーカー、Knecht&Muller買収
2016年
・3Mの度付き保護メガネ事業を買収
2017年
・老眼用調節型眼内レンズ開発のベンチャー企業 LensGenに出資
・中国 Aohua と医療用軟性内視鏡事業の合弁会社設立
・Performance Optics, LLC の買収を完了
2019年
・眼科医療機器メーカー、Mid Labs社(米国)
・Fritz Ruck社(ドイツ)を買収
2020年
・中国の白内障用眼内レンズ販売代理店GeMaxと合弁会社設立
2008年以降内視鏡等の医療分野でカメラ、レンズモジュール等の映像分野が加わり光学メーカーとしてさらに事業を拡大していますが、保険医療の分野でも一層存在感が高まって行きそうです。
鳥の目虫の目
成長領域での事業分散
HOYAの魅力は、元来もつガラス加工技術をベースに、成長産業のヘルスケア産業と半導体関連の情報通信産業に事業展開している点だと思われます。2020年の業績はCOVID19の影響でライフケア事業分野で売上が低迷する中、半導体事業で大幅な売上アップと成っています。
スマートコンタクトレンズの可能性
今後、ヒューマン・マシンインタフェースが注目される中、ハーバード大学などを中心とした研究グループが、コンタクトレンズに光学情報を受信出来る最新技術、潜在的な角膜疾患を診断可能とする温度センサー技術、涙液中のグルコースレベルを直接監視出来る技術を開発したと発表されています。
少し先の未来の話に成りますが、コンタクトレンズに最新のハイテク技術が搭載されたスマートコンタクトレンズの登場により、生態情報をコンタクトレンズからモニタリングする事で個別化治療の促進が期待されています。また、ヘルスケアの分野とは異なりますがコンタクトレンズがディスプレイ機能を搭載する事でVR技術との融合が実現する日も遠く無いかも知れません。
HOYAからスマートコンタクトの開発情報等は発信されていませんが、眼科領域におけるトップランナーとしてコンタクトレンズのDXを推進してくれる事を期待したいです。
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トリプルの紹介
ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。