ヘルスケア企業 企業分析

【オリンパス株式会社:2020年9月更新】MedTech journey 〜ヘルスケアマーケタートリプルの目〜

投稿日:2020年9月24日 更新日:

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業をトリプルと一緒に見て行きましょう!

MedTech。聞き慣れない言葉かも知れません。まだ一般化はして無い言葉でしょうか。Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IoTなどのテクノロジーを医療に活用する取り組みも含めた言葉です。

さて、初回はオリンパス株式会社に注目します

オリンパス株式会社とは

オリンパスと言えばカメラ!ヘルスケア業界に関わる以前はオリンパス=ヘルスケアの認識は無かったのですが、実は売上の約8割を医療事業が締め、国内MedTechのトップ企業なのです。

1919年顕微鏡事業で創業、2020年現在は100周年を迎えています。戦後まもなく東大病院と共に胃カメラの開発に着手し、世界初の実用的な胃カメラ(ガストロカメラ「GT-I」)を発売。そこから内視鏡治療における確固たる地位を築き内視鏡関連の特許を数多く抱え競合優位性を維持しています。顕微鏡をルーツにした、レンズ技術を活かした内視鏡関連事業で世界を巻き込んだケイパビリティを発揮しているのがオリンパス株式会社なのです。

IR関連の情報を見て行きましょう。


業績(2020年度3月決算)
売上高 7,974億円
営業利益 834億円
当期利益 516億円

組織体制(四季報 参考)
従業員数 35,969人(連結) 7,222人(単体)
平均年齢 41.9歳
平均年収 866万円

参考:オリンパスグループ企業情報サイト 決算関連資料 2020年3月期https://www.olympus.co.jp/ir/data/brief/2020.html?page=ir


売上高は連結では為替を除く実質ベースで4%増収。医療分野は3期連続、過去最高の売上を達成しています。営業利益は販管費の効率化が奏功する等、大幅な増益を実現しています。

医療事業では新型コロナウイルスの影響を受けたものの、通期では+22%の高い成長を実現しています。その牽引役は成長著しい中国市場が医療事業売上シェアの約15%ほどまで高まっています。

TOPIC

次世代の内視鏡ビデオスコープシステム

2020年は次世代内視鏡システム「製品X」を欧州・アジアで導入しています。国内でも導入開始されて居る様です。従来システムの導入から約 8 年ぶりにモデルチェンジ。人工知能(AI)を取り入れたグローバル統一モデルで、病変の早期発見、診断、治療に革新をもたらす新技術が搭載されているとの事です。

4つのコア技術

①被写界深度拡大技術(EDOF:Extended Depth of Field)
近い距離と遠い距離の異なる焦点の 2 つの画像を同時に取り出して合成する技術

②赤色光観察(RDI:Red Dichromatic Imaging)
緑・アンバー・赤の 3 色の特定の波長の光を照射、深部組織のコントラストを形成する光デジタル技術

③構造色彩強調機能(TXI:Texture and Color Enhancement Imaging)
通常光観察下での粘膜表面の「構造」「色調」「明るさ」の 3 つの要素を最適化する画像技術

④狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging)
血液中のヘモグロビンに強く吸収される紫と緑の特定の波長の光を照射すること
で、粘膜表層の毛細血管や微細構造が強調表示される画像強調観察技術

参考:オリンパス株式会社企業情報サイト ニュースリリース一覧 2020
https://www.olympus.co.jp/news/2020/nr01704.html


4つの技術に加え人工知能(AI)技術を搭載する事で、オペレーターの経験不足な側面を補い、状況を問わず安定して早期発見、診断、治療を実現出来ると期待されます。

医療のどの分野でも、オペレーターのラーニングカーブの課題は存在する為、若手医師達には強力な援護システムに成るのでは無いでしょうか。

鳥の目 虫の目

中国市場の2等級病院で拡大

世界的な視点で見た時に、中国市場での業績拡大は注目したい点です。背景には中国政府の早期に病気を治すという国家プロジェクトの影響が大きいです。

下記に列挙するだけでも中国政府の医療政策は多岐に渡ります。

・「衛生事業発展第12次5か年計画」を発表(2011年~2015年)
末端の医療衛生機関の標準化を進め、県級医院等の医療水準の向上を目指す
・「健康中国2030」を発表(2016年)
予防医療を強化する方針を打ち出し、重点項目の1つとして「重大疾病の予防」
・「衛生事業発展第13次5か年計画」を発表(2016年~2020年)
慢性疾患とがんの発生率の高い地域で、主要ながんに対する早期診断率を55%にする
・「健康中国実施行動意見」を発表(2019年)
早期診断・治療を促進し、がんの5年生存率を2022年に43.3%以上、2030年には46.6%以上に改善する
・「県級病院総合能力レベルアップ計画」を発表(2019年)
国家衛生健康委員会医政医管局が500の県級病院と500の中医病院を三級病院又は三級中医病院と同等の医療水準に引き上げることを目指す

中国は1〜3等級の大枠で医療機関を分類しています。主に高度医療は3等級病院で行われています。中国の国家政策として2等級病院でも最新のモダリティーを導入して病変の早期発見を推し進めています。この様な世界的な機会を戦略的に業績拡大に繋げている印象を受けます。

現場力

約10年前の粉飾決算事件により社会からの厳しい目に晒されながらも、その後確実に業績を上げ国内企業売上げトップの地位を確保した企業の底力が注目すべき点だと思われます。その底力は技術力に加え、現場力でしょう。

現場医師達のオリンパに対する信頼は格段に高く、特に内視鏡を扱う消化器系の医師達からは、オリンパスの内視鏡無くしては仕事に成らないと言われる程の圧倒的な関係性を築いています。

消化器系のオペに関しては、いつ、どこで、何症例、誰により実施されるか?営業、SEが連携して把握してフォローアップしています。また、日本の医師達は繊細な手技を好む傾向が有る中で、期待に応えユーザビリティを高め続けた事が信頼に繋がって来たと考えられます。

特にアジア、中国は日本のオピニオンリーダー的な医師の影響を受ける傾向も強いため、日本の医師の高い要求に応えた内視鏡は、今後拡大著しい中国、アジア地区での事業拡大に大きな強みでしょう。

製品力に加え長年培った医師達との信頼関係が他社の追従を許さ無いオリンパスの強みと成っています。世界で戦う日系医療機器企業のベンチマークと言える企業として、今後AI・LOT等の分野の開発でも期待して行きたいですね。

トリプルの紹介

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は F89447D4-25EF-4B20-A071-1EADBA523EB7-1024x597.jpeg です

ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。

-ヘルスケア企業, 企業分析
-, ,

執筆者:

関連記事

参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性 “第一三共株式会社”

今回特集する第一三共株式会社です。 コロナ禍の中でも業績は堅調に進んでいるようです。今何が起きているのか?これからどうなるのか?みていきましょう。  第一三共株式会社基本情報 2019年度 …

参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性 “武田薬品工業”

過去ブログ記事「製薬企業の今」をリニューアルし、ヘルスケア企業の今を読み解くと題し様々なヘルスケア関連企業の今を解説していこうと思います。 ではスタートはやはりこの企業。武田薬品工業で言わずもがな国内 …

【中堅内資系製薬会社】売上高ランキングTOP11-20

これまで企業特集、ランキングシリーズともに内資系製薬会社上位10社を対象にしてきました。ただ実際には数多くの製薬会社が日本にはあります。 当ブログでは包括的に企業の特集を組み、売上高や開発状況など様々 …

【2020年9月更新:参天製薬】参謀侍がみた製薬会社の動向と将来性

製薬会社の動向と将来性を参謀侍が解説するシリーズ第13弾になります。 今回は眼科領域に特化している参天製薬の特集となります。 これまで目薬を差したことがある方は、必ず参天製薬製を使ったことがあるはずで …

【テルモ株式会社:2020年9月更新】MedTech journey 〜ヘルスケアマーケタートリプルの目〜

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業をトリプルと一緒に見て行きましょう! 2回目はテルモ株式会社です。 ※MedTech:Medical(医療)とTech …