企業分析

【2021年3月更新】-大塚ホールディングス-参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性

※この記事は2021年3月に更新しています

あなたはポカリ派!?アクエリ派!?

忙しい朝の栄養補給にはカロリーメイト、元気を出したいときにはオロナミンC、熱中症にはOS-1。

ん?それはCMでもみるしよく知っているけれど、医薬品と関係あるの??って思った方!!あるんです。むしろ製薬会社としての側面が強い企業なのです。ユニークな点も多い大塚HDを紐解いていきましょう!

 大塚ホールディングス基本情報

2020年度12月期結果

売上収益 14,228億円(+1.9%) 

営業利益 1,986億円(+14.5%) 

当期利益 1,481億円(+16.5%)

従業員数 32,935人(連結) 99人(単体)

平均年齢 44.0歳 平均年収 1,054万円

2020年度は増収増益で着地することができました。

医療セグメントで309億円の増益となり、全社をけん引しています。新型コロナウィルスの影響は一定あるものの、NC事業は前年並みを確保しました。

医薬品のコア製品であるグローバル4製品で545億円伸長し成長期寄与しています。

またエリア別の売上をみると、日本市場では減少したものの、海外市場の成長によりカバーしています。

2021年度はチャレンジングな年になります。

大型製品のコ・プロモーションの契約終了の影響により700億円の減収となります。しかしながら、グローブ製品およびNC関連事業の成長により減少分を相殺し前年並みの計画となっています。

大塚ってどんな会社?

1921年大塚武三郎により源流となる大塚製薬工場を徳島県に創設しました。その後大塚製薬を中核に展開しており、2008年には大塚ホールディングスを設立しています。

ホールディングス傘下には大塚製薬、大塚製薬工場、大鵬薬品をはじめとする子会社167社、関連会社27社が連なっています。また収益の66%を医療用医薬品が支えています。約50%の売上を海外で稼ぎだしているグローバルな製薬会社です。

大塚製薬は医療用医薬品、大塚製薬工場は輸液・栄養、大鵬薬品は固形がんと事業の棲み分けが行われています。

特徴はなに?

主軸の大塚製薬は医薬品とニューロラシューティカル事業(一般消費者向け)の両輪で回しています。

一般消費者向けで代表的な製品ではポカリスエットやカロリーメイトがあります。医療用医薬品では抗精神病薬を北米でブロックバスターに育て上げました。欧米・アジア各国では子会社を設立しており、事業のさらなる拡大を図っています。

研究開発面では「大塚にしかできないこと」を実践。これまで革新的な製品を創り上げており、独自性の高い企業です。それはポカリの開発秘話にも現れており、当時手術を終えた医師が水分補給のために輸液を飲んでいることを目撃した社員が “飲む点滴”として開発を進めたことからも言えるでしょう。

参照:ポカリスエット誕生ストーリー

https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/rehydration/ionsupply/pocarisweat/

創業の大塚家の理念を残しつつ、常に新たな風を常に取り入れているユニークな企業です。

次世代事業への取り組み

大塚ホールディングスではアンメット・ニーズ解決へ貢献する次世代事業取り組みとして、3つ掲げています。

「新たな薬剤の開発」「精神・神経領域、がん領域の事業・製品の取り組み」「経営資源の配分見直し」となります。

2019年から始まった第三次中期経営計画で精神・神経領域・がん領域・循環器、腎領域を柱とすることを打ち出し、各領域におけるアンメットニーズの解決を行うべく開発が行われています。

第四次、第五次中期経営計画に向けて新たなモダリティ・デジタルを活用した創薬を行う予定です。

参謀侍の目

2015年にHDの大黒柱であった抗精神病薬の特許切れで一時先行きを心配する声もあったが、見事な回復を見せている。

長年大型製品に依存する体系が続いていることから、次世代の中核製品を育て、ポートフォリオの分散を図りたいところ。研究開発力の底上げや戦略的提携が必要とされる。

先の発表ではノバルティス社との提携が発表された。プレゼンスの高い心不全領域での将来を見越した提携となる。米国エスペリオン セラピューティクス社ともライセンス契約を結んだ。

これまで培った循環器領域での経験・存在感さらに高めていく意気込みが感じられる提携と言えよう。 “大塚らしさ”を発揮し次の難局も突破できるか、今後の動向に注目したい。

参謀侍の紹介>

個人向け営業からキャリアをスタート。その後ヘルスケア業界にキャリアチェンジしMRを10年間経験。メンバーの育成やプロジェクトの運営などを行う。経営知識を生かしヘルスケア企業の分析や将来の動向を独自路線で読み解く。

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