ヘルスケア企業

【フクダ電子の将来性:2020年12月更新】MedTech journey 〜

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業の現在と将来性をトリプルと一緒に見て行きましょう!

※MedTech:Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IoTなどのテクノロジーを医療に活用する取り組みも含めた言葉

フクダ電子とは

業績(2020年度3月決算)

売上高 1,333億円 
営業利益 132億円 
当期利益 96億円

従業員数 3,208人(連結) 651人(単体)
平均年齢 42.5歳 平均年収 780万円


連結での売上は前年同期比2.8%増、営業利益に関しても5%増。当期純利益も0.3%増と成り順調に増収、増益を継続しています。消費税増税を見越した駆け込み需要の影響で特に上期は好調で、後半にかけて新型コロナウィルスの影響も有り失速傾向だった様です。

参考:フクダ電子 IR情報
https://www.fukuda.co.jp/ir/data/

フクダ電子の特徴

フクダ電子は1939年(昭和14年)福田特殊医療電気製作所として創業します。1949年(昭和24年)波形観察用回転鏡(PAT)の付いた心電計。同年、交流心電計を開発します。その後もフクダ電子は循環器領域を強みとした医療機器開発を進めています。

事業セグメント〉
事業セグメン別の売上比率は、治療装置部門 37.9%(ペースメーカー、除細動器、人工呼吸器),生体検査装置 28.7%(心電計、超音波など)生体情報モニター7.7%,消耗品等25.7%、海外比率は約5%ほどで、ほとんどが国内の売り上げです。

事業は「予防・検査」→「治療」→「経過観察・リハビリ」→「在宅・介護」と一貫した医療環境の提供に沿って展開している。特に近年では介護領域にも拡大し、地域医療を支えるフクダ電子独自のジネスモデルを実現している。

TOPIC

クラウド型システムソリューション

フクダ電子の今後注目すべき点は、システムソリューション事業と言えます。特にクラウド型の検査データ管理システムf’no(エフノ)は、これからのデータサイエンス時代に大きな強みと成ると予測します。

フクダ電子は既に国内の医療機関に生体検査装置、治療装置を数多く導入し国内の医療機関を広くカバーしています。その様な強みを活かして3つ(Portal、Viewer、Personal Dashboard)のアプリケーションで検査データ、ヘルスケアデータを管理します。

クラウド型ですから医療連携にも適しておりこのサービスに登録されている患者情報はクラウド上のDBに蓄積され仮に緊急対応が必要な患者でもこれまでの既往歴や危険因子が推察可能に成るでしょう。また、在宅医療に置いてもポータブル型、ウェアラブル型検査機器と連動する事で継続的なモニタリングサービスに成ります。

導入事例は増えているものの、クラウド型のシステムソリューションの導入はこれまで医療業界では進んでいませんでした。しかし新型コロナウィルスの拡大も有り、医療機関にとっての経営効率化は必須です。今後大きな機運が訪れると考えられます。

画像引用先:https://www.fukuda.co.jp/medical/products/system/fmlc-50.html

鳥の目虫の目

海外展開

フクダ電子は国内でのプレゼンスは高く、特に循環器系の心臓カテーテル治療に関わる分野では十分な強みを持つと考えられます。一方で循環器系はかつてはPCI(percutaneous coronary intervention)の増加が牽引する形で医療経営の面で見ると利益が高く病院の中の診療科でも稼ぎ頭でした。よって循環器系の医師の影響力が強かった事も有りフクダ電子にとって有利な状況が続いていたと考えられます。昨今では保険査定が厳しく成るなど循環器科の病院経営に置ける利益割合は低下していると言われています。循環器以外の診療科での影響力を高める努力も必要と思われます。

そして内資系の医療機器メーカーで売上、利益共に上位に有る企業は国外での事業展開で成功している事が事業拡大を推し進めて来たと言えます。今後フクダ電子のグルーバル戦略に注目したい所です。

クラウド型システムソリューションの行方

SaaS(Software as a Service)が医療業界でも確実に浸透して行くと言われています。特にCRM(Customer Relationship Management)は病院経営に置いて絶対的に必要と成るサービスと考えられます。詳しくは過去の記事をご参照ください。
【最新】「医療機関に起きる変化:2020年10月更新」ヘルスケアマーケターの目

そのCRMは医療機関を繋ぐシステムと言っても過言では有りませんので、患者情報を安心して共有できるサービスが選ばれる事に成ると予想できます。

フクダ電子のf’no(エフノ)は医療業界のSaaSビジネスに最も強い患者情報の収集システムを持つクラウド型サービスと成りますので今後はフクダ電子がシステムソリューション企業として世界に羽ばたく姿に期待したいです。

株式会社Donutsが提供するクリニック向けクラウド型電子カルテ「CLIUS(クリアス)」との連携を2019年に発表するなど、SaaS間連携も進んでいます。今後、フクダ電子を単なる医療機器開発企業と言う目線で見る事は間違った理解かもしれませんね。


MedTech journey これまで

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トリプル
ヘルスケア業界でマーケティングの仕事に従事しながら、ヘルスケア業界以外のビジネスにも関わっています。 医療現場起点のインサイトを集めてブログ記事にします。どうぞよろしくお願いします。