ヘルスケア企業

最新【富士フィルムの将来性:2021年7月更新】~MedTech journey~

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業の現在と将来性をトリプルと一緒に見て行きましょう!

※MedTech:Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IoTなどのテクノロジーを医療に活用する取り組みも含めた言葉

富士フィルムホールディングス株式会社とは

2021年3月期業績

売上高  2兆1,925億円 △11%
営業利益 1,654億円 36%up
当期利益 1,812億円 45%up

ヘルスケア事業
売上高 5,678億円

従業員数 73,275名(連結)633名(単体)
平均年齢 45.5歳 平均年収 970万円

参考:富士フィルムホールディングス IR情報
   会社四季報

特徴

1934年 大日本セルロイド(株)の写真フィルム部の事業一切を分離継承する形で富士写真フイルム(株)創立されました。

2020年3月31日現在で317社の連結子会社を抱えます。1962年に英国ランクゼロックス社との合併により富士ゼロックスを設立します。2001年には連結子会社とし、2019年に完全子会社化を果たします。

富士フィルムホールディングスは主に富士フイルム、富士ゼロックスの2つの事業会社を傘下に持つ持株会社です。

富士ゼロックス およびその関係会社は、ドキュメント ソリューション(オフィス用複写機・複合機、プリンター、プロダクションサービス関連商品、用紙、消耗品、オフィスサービス等)事業分野における製品の開発・生産・販売などを行っています。

富士フイルムおよびその関係会社は、イメージング ソリューション、ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション(医療診断用・ライフサイエンス機材、印刷システム機材、フラットパネルディスプレイ材料、記録メディア、光学デバイス、電子材料、インクジェット用材料等)事業分野における製品の開発・生産・販売などを行っています。

ホールディングス全体の売上を事業セグメント毎に見た場合、44%がヘルスケア&マテリアル事業、42%がドキュメント事業、14%イメージングソリューション事業と成ります。どれも写真分野で培った高い技術力を進化する企業文化で多様化した結果でありそれこそが富士フィルムの強みでしょう。

海外売上比率は勢いのある企業の共通点50%を超え米国、中国及びアジアでの比率が主に20%程度と相対的に高い傾向に有ります。

Medtech事業に関わる分野は富士フィルム株式会社の事業領域ですが、富士フィルムHDの事業セグメントの中で見た時にヘルスケア&マテリアルソリューション事業の中でもヘルスケア事業に該当します。更にヘルスケア事業領域は予防、診断、治療の3分類され、医療機器が該当する分野は診断領域に成ります。

TOPIC

日立製作所の画像診断関連事業買収

2019年12月18日に、ヘルスケア領域のさらなる事業拡大に向けて、株式会社日立製作所の画像診断関連事業を買収することを発表していました。買収完了予定時期を2021年3月31日とする事が報道されました。

日立の画像診断関連事業はCT、MRI、X線診断装置、超音波診断装置など幅広い製品ポートフォリオを保有しており、医療モダリティー事業の拡大を通じて医療へのプレゼンスを高める事が期待されています。世界的には医療モダリティー事業はフィリップス、シーメンス、GEなどの外資が強い分野ですが、国内では歴史的に日立はMRIやCTなどの大型の医療機器モダリティに強い事から富士フィルムの製品ポートフォリとの補完関係に有ります。これによって医療機器モダリティ領域で世界展開を目指す事が見えてきます。

更に富士フィルムの持つ画像処理技術・AI技術を対象事業の幅広い製品ラインアップに搭載させる事で医療従事者を支援する画像診断AI技術の拡大が期待されています。その点が世界的な競争の中での差別化になるかもしれません。

参考:富士フィルムホールディングス プレスリリース

鳥の目虫の目

強みを活かし進化する力

富士フィルムは事業を大きく転換する事で成功を遂げた代表的な企業として取り上げられる事が多いです。例えば機能性化粧品「アスタリフト」シリーズの開発秘話などは良く注目されます。

最近では進化の形として再生医療分野、抗インフルエンザ薬(ファビピラビル)のCOVID–19の国内Ph3試験も開始されました。

確かに写真事業を生業にしていた会社が、化粧品の開発に成功したり、再生医療に進出する事はすごい事です。企業の進化や変化を恐れないエピソードとしてメディア的にもキャッチーで面白い為注目を集めているのですが、富士フィルムの凄さは写真フィルム事業で創設した時から脈々と画像領域で技術を高めつつ、時代の変化を少し先取りした事業の進化を続けて来た事に有ります。実際に世界NO,1シェアを持つプロダクトの多くが、写真フィルム事業で培った技術力を背景にした物が大半を占めています。

今後はヘルスケア事業領域の更なる拡大を目指していますが、現在の診断領域の強みを活かし、AI技術を活かし予防、治療分野へ事業拡大を狙って行くのだと考えられます。

富士フィルムの進化から目が外せませんね!


MedTech journey これまでの記事一覧

【オリンパス株式会社の将来性:2020年9月更新】MedTech journey 〜

【テルモ株式会社の将来性:2020年9月更新】MedTech journey 〜

【ニプロ株式会社の将来性:2020年10月更新】MedTech journey 〜

【シスメックス株式会社の将来性:2020年10月更新】MedTech journey 〜

【日本光電工業株式会社の将来性:2020年11月更新】MedTech journey 〜

【島津製作所の将来性:2020年11月更新】MedTech journey 〜

【フクダ電子の将来性:2020年12月更新】MedTech journey 〜

【オムロンの将来性:2020年12月更新】MedTech journey 〜

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トリプルの紹介

ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティング、コンサルティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。

現場を知るメディカルジャーナリストとして記事をお届けします

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トリプル
ヘルスケア業界でマーケティングの仕事に従事しながら、ヘルスケア業界以外のビジネスにも関わっています。 医療現場起点のインサイトを集めてブログ記事にします。どうぞよろしくお願いします。