これまで企業特集、ランキングシリーズともに内資系製薬会社上位10社を対象にしてきました。ただ実際には数多くの製薬会社が日本にはあります。
当ブログでは包括的に企業の特集を組み、売上高や開発状況など様々な情報から将来性を解いていきたいと思います。
今回は中堅製薬会社売上ランキングです。ランキング11-20位には、小野薬品や大正製薬に始まりジェネリックメーカーの日医工、漢方のツムラなど多種多様な企業がランクインしています。
あなたの気になる製薬会社はさてランキング何位でしょうか!?
内資系中堅製薬会社売上高ランキング
11位 旭化成(ヘルスケア)
旭化成は昨年から大幅に順位を伸ばしました。
その背景には米国企業であるVeloxis Parmaceuticalsを買収したことが関係しています。
12位 小野薬品工業
世界初の免疫チェックポイント阻害剤を開発したことで有名な小野薬品工業です。薬価ダウン大きな影響を受けてはいますが、今年度の成長も維持される見通しです。
13位 大正製薬
リポビタンDで有名な大正製薬が12位へランクインしています。
14位 参天製薬
14位が点眼剤領域でNo.1企業の参天製薬が位置しています。
15位 明治ファルマ
お菓子で有名な明治HDの医薬品事業がランクイン。
16位、17位 日医工、沢井製薬の大手後発医薬品メーカーがいます。
18位 帝人(ヘルスケア)
19位 湿布で有名な久光製薬
20位 漢方のツムラ
一方年平均成長率(CAGR2017-2019)をみると、沢井製薬が大きく伸ばしていることが分かります。11.3%の成長率はTOP10にランクインしている中外製薬の11.7%に次ぐ成長となっています。
明治、参天製薬、小野薬品、日医工、ツムラ、日医工はプラスの成長率となっている一方で、久光製薬、旭化成は僅かにマイナス成長となりました。
売上規模と成長率の相関関係を上位20社でみると、R2=0.0007となり相関関係は見られませんでした。一つの薬剤で大きく売上を左右する医薬品メーカーでは、単純に事業規模から将来を予測することは難しいといえます。しかしながら、年次の推移を追うことで傾向を予測することは可能となるでしょう。
参謀侍の解説
過去の記事を含め内資系製薬会社TOP20について売上データをまとめてきた。産業別の市場規模では製薬業界は11.3兆円(29位)となっており、医療費の約25%を占める大きさとなっている。売上高1,000億円を超える企業も多数存在しており、その境目がおおよそ20位となっている。
業界全体としては向こう数年の見通しが、横ばいからやや減少と予測されているが、今年度も成長を続けている企業も一定数存在している。
今回は11-20位の企業にフォーカスを当てているが、上位10社と比べてユニークな企業が目立つように感じる。
例えば、小野薬品工業は先に書いた通り世界初の免疫チェックポイント阻害剤を上市させ、参天製薬も眼科領域に特化することで、ニッチ市場にてリーダーの座を築き上げることができている。
ニッチ戦略でブランド力を高めた企業としては久光製薬も同様である。 “張る文化” に強い拘りを持ち今や、医療用の製品M、一般用の製品Sを知らない人は少ないのではないだろうか。漢方薬に特化しているツムラも東洋医学に長けている医師から絶大な支持を受けている。
明治や帝人、旭化成は本流ではない分野であるところからスタートし会社を支える事業に成長させている。
ジェネリックメーカーの日医工、沢井製薬は国策が後押しをしたこともあり成長を続けている。その上で単に同質の薬剤を提供するのではなく、いかに付加価値をつけられるか?に注力されている。
大手企業と比べて規模こそは小さいもののこれぞという強みを有している企業が連なっている。その理由は何か?個々の企業特集はまた改めて行っていきたいと思う。