企業分析 製薬企業

【2020年8月更新:小野薬品工業】参謀侍がみた製薬会社の動向と将来性

投稿日:

製薬会社の動向と将来性を侍参謀が独自目線で解説するシリーズ第11弾です。

今回は小野薬品工業を特集します。

小野薬品といえば、何といっても画期的な免疫チェックポイント阻害剤を世の中に誕生させたことで有名だと思います。

将来はどうなっていくのか迫っていきます。

小野薬品概要

  • 2020年度第一四半期
  • 売上収益 749億円(前年比1.3%)
  • 営業利益 270億円(前年比35.3%)
  • 四半期利益 215億円(前年比31.6%)
  • 従業員 3,560人(連結) 3,287人(単体)
  • 平均年齢  41.9歳
  • 平均年収 9,280千円
  • 株価 3,215円(8月27日現在)
  • 時価総額 1,698,618百万円

医療用医薬品を専業とした研究開発型企業です。歴史は長く、さかのぼること約300年前に大阪市の薬品街であった道修町に初代小野市兵衛が創業しました。

現在の小野薬品工業の冠を掲げたのは1948年となります。

企業理念はDedicated to Man’s Fight against Disease and Pain(病気と苦痛に対する人間の闘いのために)とされており、武士道を感じさせる熱い思いを感じます。

企業規模としては製薬会社の中では中堅企業に位置しておりますが、近年急激に売上を伸ばしています。

数年前は糖尿病治療薬や抗リウマチ薬が主軸でしたが、抗PD-1抗体を世界で先駆けて発売したことにより独自のポジションを確立したといえます。

決算資料より筆者作成

2020年度の最終予測が初の売上収益3000億円を予測しており、右肩成長がまだまだ続きそうです。

抗PD-1抗体で成長を続ける方針はしばらく続きそうですが、現在も17もの適応拡大にむけて治験を進めています。(内申請中が2つ)

度重なる薬価の大幅引き下げの苦境を乗り越え、さらなる伸びが期待できそうです。

拡大再算定がなければ今頃4000億円企業となっていたでしょう。

ただ一方で、一製品への依存度が年々高まっていることにも注視しなければなりません。

医薬品ビジネスにはいずれ特許切れの壁がやってきます。多くの薬剤がこの大波に飲み込まれています。

近年ではエーザイや大塚製薬が大型製品のパテントクリフ(特許切れの崖)にぶち当たり、何年もかけて持ち直しています。

ただ現状は抗体製剤の開発は難しく、バイオシミラーを使う利点も乏しくそれほどまで普及していません。この点は政策により大きく左右されるため、予測が難しいといえます。

※バイオシミラーとはバイオ医薬品の後発品にあたるもの。通常の後発品とは異なり、第三相試験が必要とされる。

次の時代を支える自社開発製品を生み出したいというのが本音だと思いますが、研究開発情報をみると大型化が期待させる製品は今のところなさそうです。

新型コロナウィルスの治療薬も開発しているようです。

向こう5年は安泰が続くと予想されますが、その先は未知数といったところでしょうか。

企業文化・組織体制

企業文化はいわゆる内資系の気質が強いようです。また体育会系の要素もあるようです。平均年齢も比較的高いので、ベテランの方々が経験してきた伝統が残っていると予想されます。

年功序列も根強いようですが、それが悪いとも言い切れません。社内の雰囲気はよく、温かい方が多いとも聞きます。社員を大事にする気風があるようなので、長期間腰を据えて働きたい方にはマッチした会社といえます。

近年は中途採用も増やしているようなので、少しずつではありますが多様性を取り入れ始めており、働き方改革も進めて時代に適合していく意思を感じます。

組織体制はプライマリーとオンコロジーに分かれており、両MR合わせて1100人程となります。

ワークライフバランスも年々改善されてきているようで、有休もとりやすくなっているようです。

私の個人的なイメージでは、医師との関係性構築を重視しており、できるだけニーズに応えられる働きをしている印象があります。

競合他社と比べても日本的な文化の企業だと感じます。

まとめ

  • 抗PD-1抗体の誕生により近年大幅に業績を伸ばしている
  • 向こう10年は安泰が予想される
  • 安定的に働きたい人にはマッチしている

-企業分析, 製薬企業
-, ,

執筆者:

関連記事

参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性 “エーザイ株式会社”

皆さんこんにちは!読み解くシリーズ第5弾はヒューマン・ヘルスケアカンパニー「元気出していきましょう」でお馴染みの製薬会社、エーザイ株式会社です。 私もチョ○○BBでお世話になってます。あれ効くんだよな …

【テルモ株式会社の将来性:2020年9月更新】MedTech journey 〜

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業の現在と将来性をトリプルと一緒に見て行きましょう! 2回目はテルモ株式会社です。 ※MedTech:Medical(医 …

参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性 “田辺三菱製薬”

今回の特集は田辺三菱製薬です。老舗企業の一つですね。女優の黒木瞳さんがCMで皮膚用ステロイドのフ〇コートをアピールしている企業ですね!   田辺三菱製薬基本情報 2019年度 売上収益 3, …

参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性 “中外製薬株式会社”

この記事の読者は製薬会社のMRの方が多いのではないでしょうか?おそらく今の状況では病院に訪問できずにいるのではないかと思います。こういう時だからこそ業界全体・個々の企業を理解する時間に使いたいものです …

【2025年将来性予測】これからの製薬業界はどうなる?

先日のロリーマシロイの記事(武田薬品の退職金はおいくら?)やトリプルの記事(IMR(独立型MR)の可能性)もあったように、今製薬業界は大きなうねりの中に入っています。 元々この10年間で低分子化合物( …