企業分析

【2020年12月:明治ファルマ】参謀侍がみた製薬会社の動向と将来性

シリーズ第15回目です。

今回は明治HD参加の医薬品メーカー「明治ファルマ」について特集していきます。

※このシリーズでは様々な医薬品メーカーについて将来性を探っていきます。

明治といえばお菓子から栄養食品まで取り揃えており、一般消費者の方にも馴染みの深い企業の一つかと思います。

そんな明治は実は製薬企業として医療用医薬品を世の中に届けています。

しかも1916年設立なので既に100年企業なんですね。

では詳細をみていきましょう。

明治ファルマ概要

2020年度第二四半期

売上高 891億円(前年比-6.6%)

営業利益 62億円(前年比-19.7%)

従業員 5,823人(連結)

平均年齢  不明

平均年収 推定800-900万円

※2020年度第二四半期決算発表資料を参照

明治ファルマの源流は1916年に設立された明治菓子株式会社に遡ります。

その後1924年には明治製菓株式会社に商号を変更し、お菓子メーカーとして認知が広まりました。

医薬品メーカーとしての機能を持ったのは1946年にペニシリンを製造したことが始まりです。それ以来感染症治療薬のリーディングカンパニーとして、抗菌薬だけにとどまらず、中枢神経系領域やジェネリック医薬品等幅広いラインナップを国内外に提供しています。

農薬、動物薬や原薬の事業も行っており他医薬品メーカーと違う特徴といえます。

2009年に明治ホールディングスを設立し、現在は食品事業の明治、ヒト用ワクチン事業(旧化学及血清療法研究所)とともに医療用医薬品メーカーの明治ファルマとして傘下の企業に属しています。

売上規模では2020年3月期では明治ホールディングスの売上高約1兆2500億円に対し、明治ファルマは1,853億円で15%ほどを構成しています。

ホールディングスの本流はあくまで、食品事業であるともとれます。

長期収載品やジェネリック医薬品の売上比率が高まってきているため、他社との連携を含めた製品戦略を立てる必要があるでしょう。

新規感染症治療薬や新型コロナウィルス感染症ワクチンの開発も開始していますが、2022年度以降の承認スケジュールとなっており、他社と開発競争には出遅れているといえそうです。

明治グループ2026ビジョン

明治グループでは2018年に2026年に向けた経営計画を打ち出しました。

【明治グループ100年で培った強みに、新たな技術や知見を取り入れて、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、日本、世界で成長し続ける】というグループ像を掲げています。

医薬品セグメントでは数値目標を年平均営業利益成長率を9%台、26年度海外売上高比率を30%台以上に設定しています。

特に感染症領域ではアジアにてリーディングカンパニーとなることを目指しており、塩野義製薬らが競合の立ち位置にあります。

コア事業の食品技術と医薬の技術掛け合わせることで、他社との差別化を図り優位性を確立する必要があるでしょう。

まとめ

医薬品ビジネスは開発力の有無が企業の生存競争の運命を分けるともいえるほどに重要な因子となっています。

近年は大型製品の開発に困難を極めています。明治ファルマもその中で、難しい局面にあるといえます。

自社開発品は感染症領域の2品目であり、まだフェーズⅠ、フェーズⅡにあるためこの先の見通しは立っておりません。

そのため、近年ではジェネリック医薬品に力を入れていると読むことができます。このまま長期収載品やジェネリック医薬品で事業を成り立たせるのか、もしくは基礎売上を確保している間に他社製品の導入や、コプロモーションなどアライアンスを積極的にとりにいくのか戦略によって2026年の姿は大きく変わりそうです。

難しい局面には入りつつありますが、従業員にとっては明治ファルマは働きやすい企業といわれています。ワークライフバランスの改善にも力を入れており、穏やかな人が多いようです。

ホールディングスとしての安定した基盤がありますので、日本的企業文化の中で長く勤めあげたい方には相性がよいかもしれません。