ヘルスケア業界に身を置くマーケター”トリプル“が様々なテーマに対して独自目線で分析して行くシリーズです。
目次
感動の法則
振り返りですが
時間×戦略性→顧客感動の方程式を提唱しました。しかしながら、この掛け算の結果が大きければ売れる!営業はそんな単純な事でも無い事もお伝えしました。だから営業は面白く、AIなどの人工知能に代替され難いと考えます。
ハードワーカーだけで組織された営業部隊を組織する。読んで頂いているあなたが経営者ならそれがベストではないか?合理的に考えるとそうなるかも知れませんね。しかし、それが非現実的である事も知らなければなりません。
理由は主に2点です。一つ目ですが組織は20%のハイパフォーマーと残り80%の人材に通常分類されると言われます。働き蟻の法則、262の法則とも言われますが、要は100名のハードワーカーを集めて営業組織を作ったとして、結果的に262の法則に従って80%の人材がパフォーマンスを落とす可能性がある事を念頭に置く必要が有るからです。
二つ目ですが、現在ハードワーカーのタイプは既に所属する組織で高い評価を得ている可能性が高いです。またその様な人材を欲しがる他の組織も多いでしょう。そうすると採用にかける時間とコストは受給の関係で高騰します。
以上2点の理由でハードワーカータイプは出来るだけ多くする方が理想的ですが、組織的な観点から考えるとどこかで見極めが必要かもしれません。
ヘルスケア業界の営業
ここからは、ヘルスケア業界の営業を見て行きましょう。
ヘルスケア業界と言っても定義が様々です。広い意味では、あらゆる事がヘルスケアと言えてしまいます。毎日ランニングしてます。それもヘルスケアでしょう。好きな音楽を聴いてリラックスする様にしています。それもヘルスケア。要は健康管理は人それぞれです。
さて、ここで言うヘルスケア業界ですが。”病気に成った患者さんに対して医療サービスを提供する業界”と定義させて下さい。
BtoBtoC
BtoCモデル、BtoBモデル、などと言う言葉を耳にする事ありますか?BはBusiness(事業者)、CはConsumer(消費者)です。
そしてBtoBtoCは、事業者から消費者に価値が提供される段階で間に別の事業者を挟む事を示しています。最近ではAmazonやGoogleの影響でBtoBtoCのモデルも注目されています。
トリプルの考えでは、ヘルスケア業界は昔からBtoBtoCのビジネスモデルで成り立っているが、それを意識して無い営業さんが多いと考えています。
トリプルがその様に考える根拠をお示ししましょう。下の図はヘルスケア業界のBtoBtoCモデルです。
製薬企業を例にしてみます。製薬企業は医療機関(薬局含む)に製品を売ります。その製品が患者さんに処方される事で製薬企業の製品は患者さんに届きます。
※余談ですが、ヘルスケア業界で経験が浅いビジネスマンが”患者様”と言っている場面を目にする事が有りますが、”患者さん”で表現される事をお勧めします。患者さんは、好んで患者に成っている訳では無いですから購買者をイメージする”患者様”は医療従事者とのコミュニケーション上恐らく損します。
話を戻しましょう。
整理しますと、製薬企業の製品(医療用医薬品)は医師の処方、薬剤師の調剤、看護師の患者サポートなどを無くして正しく患者さんに届く事は有りません。断言します。
So what?
と聞こえて来そうです…シンプルに言います。
医療従事者は事業者にとってパートナーです!
病院、診療所、調剤薬局など医療機関は確かに顧客ですが、それ以上に患者さんへ質の高い医療サービスを提供するパートナーです。もっと平たく言いますと、あなたがMRだとしたらあなたの担当する製品を最終的に売っているのは医師や薬剤師です。とは言えサービス提供者とサービス受給者の最低限の関係性が有ることは大前提ですが。
つまり、車や腕時計などエンドユーザーがこれ欲しいな!と思えば手に入る業態とはまるで異なる世界なのです。
という事はエンドユーザーの患者さんにとっての有益性を第一に考えながらも、その提供者たる医療従事者にとっての有益性も同時に満たす必要が有ります。それを患者フレンドリー、医療従事者フレンドリーなどと筆者は表現します。
その違いを意識した上で医療従事者に対する営業活動を進める事がポイントです。実はその点をクリアに出来ていない方が多いと感じています。
次回はBtoBtoCのビジネスモデルである事を前提にして売れる営業さんを4Pで分析してみましょう。
トリプルの紹介>
ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。