企業分析

【コニカミノルタの将来性:2021年3月最新】~MedTech journey~

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業の現在と将来性を一緒に見て行きましょう!

※MedTech:Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、IoTなどのテクノロジーを医療に活用する取り組みも含めた言葉

コニカミノルタ について

2020年3月期 業績

売上高  9,961億円 
営業利益 82億円 
当期利益 △30億円

ヘルスケア事業
売上高 878億円
営業利益 6億円

従業員数 41,470名(連結)4,969名(単体)
平均年齢 45.6歳 平均年収728万円

参考:コニカミノルタ IR室
   会社四季報


2020年3月期の業績は利益の面で苦戦した模様。2019年度前半においては、欧州の景気低迷やそれに伴う対ユーロでの円高の進行、米中貿易摩擦を起因とする米中経済の減速、オフィス事業の中低速カラー複合機の新製品への切り替え時における製造原価低減遅れ、後半は新型コロナウィルスの影響など外部要因。構造改革費用として74億円を計上するなど社内要因が重なったと見られている。

コニカミノルタの特徴

2003年にコニカとミノルタが経営統合し「コニカミノルタホールディングス株式会社」として新生しています。

・創業
コニカ:1873年 小西屋六兵衛店で写真および石版材料の取り扱い開始
ミノルタ:1928年 日独写真機商店で国産カメラの製造を開始

・撤退
2007年にフォト・カメラ事業を終了

・近年の変化
2013年に社名を「コニカミノルタ株式会社」に変更
2018年に個別化医療分野の新会社「Konica Minolta Precision Medicine, Inc.」設立

事業セグメントはデジタルワークプレイス事業(売上比率 55.4%)、プロフェッショナルプリント事業(売上比率 21,2%)、ヘルスケア事業(売上比率 12%)、インダストリー事業(売上比率 12%)現在全社売上に与えるインパクトは、オフィス向け複合機及び関連消耗品の開発・製造・販売、関連ソリューション・サービスの提供を行うデジタルワークプレイス事業が5割を超えます。ヘルスケア事業は全体の中ではまだ規模は小さめです。地域別売上を見ると、2019年時点では80%が海外売上で、特に米国、欧州での57%の売上構成となる。欧米に影響を強く受ける事が伺えます。

TOPIC

米Amazonとの連携 バイオマーカーを駆使した次世代統合診断データプラットフォーム

コニカミノルタ株式会社の子会社で個別化医療の事業会社である Konica Minolta Precision Medicine(以下 KMPM) が米国Amazon Web Services(以下 AWS)と今後5年間に亘り、連携していくことを発表しました。AWSはKMPMの優先クラウドプロバイダーとして、KMPMの統合診断プラットフォーム構想のグローバル展開を支援します、この一環として、AmazonはKMPMに対する投資を行うとの事です。

このプラットフォームでは遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームを目指すと見られます。

コニカミノルタ の強み:先進技術とバイオインフォマティクス技術
・遺伝子の見える化
・タンパク/細胞の見える化
・臓器の見える化

Amazonの強み:メガプラットフォームサービス
・機械学習サービス
・ストレージ
・コンピューティング
・データベース
・分析サービス

上記の様な両者の強みを統合して臨床医が適切な医療を、適切な患者に、適切な時期に提供できるよう支援し、創薬の加速を支援出来ると見られます。

参考:2021年3月10日 ニュースリリース

鳥の目虫の目

Precision Medicine

ヘルスケア関連ではコニカが1940年にレントゲンフィルム製造に関与。ミノルタは1977年に世界初の指先測定型パルスオキシメーター「OXIMET MET-1471」発売。長年ヘルスケアには関わって来ている同社です。

2018年創立セグメントで見た時のヘルスケア事業のインパクトはまだ小規模ですが同事業は、X線や超音波などの画像診断とその診断支援のための医療ITサービスに加え、遺伝子診断と創薬支援を一体的に推進することで、疾病の予防、早期発見、早期診断、新薬開発支援に今後力を入れて行くと考えられます。近年の同社のM&A案件ではバイオヘルスケア分野が50%を占めるなど投資の観点で見てもインパクトが高まっています。

実際2018年に設立した個別化医療分野の新会社「Konica Minolta Precision Medicine, Inc.」は2017年に買収した遺伝子診断企業Ambry Genetics社と創薬支援企業Invicro社を統合した会社です。ヘルスケア関連データを取り扱う企業としてのポテンシャルに期待したいです。

コニカミノルタ全体で見た時の注目の点は、画像診断支援、及びその情報伝達の方向性。遺伝子関連検査サービス、創薬支援サービスの方向性。この2点を持つ事でしょう。それぞれ別の分野でのサービスで有りまだまだ市場規模も大きくは無いですが、サービスを統合したプラットフォームでAmazonとの連携などを考えると、ヘルスケ事業はコニカミノルタ の事業セグメントで見た時に最も成長する可能性を秘めた分野で有ると思われます。

今後の期待としては同社は特に欧米でのプレゼンスが高い企業ですが、多くの高成長ヘルスケア企業に共通する点は、中国、東南アジア、アフリカなどの急成長している地域でのプレゼンスを高める事では無いかと思われます。日米欧で培った個別化医療のノウハウを如何に、その他の成長国で受け入れられる形に変換して浸透させて行けるかが注目です。


トリプルの紹介

ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティング、コンサルティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。

現場を知るメディカルジャーナリストとして記事をお届けします

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トリプル
ヘルスケア業界でマーケティングの仕事に従事しながら、ヘルスケア業界以外のビジネスにも関わっています。 医療現場起点のインサイトを集めてブログ記事にします。どうぞよろしくお願いします。