ヘルスケア業界に身を置くマーケター”トリプル“が様々なテーマに対して独自目線で分析して行くシリーズです。
前回はマーケティングリサーチの概念に触れ、究極のリサーチは顧客の脳内情報探索に有る事とお伝えしました。
《脳内情報探索》#1 マーケティングリサーチ「実践型シリーズ」~ヘルスケアマーケターの目~
今回は顧客との面談に当たって重要度が最も高い準備面に関して触れて行きます。ただ単に準備を漠然と語るよりも絞り込んでお伝えした方が良いかと考え、より実践的で明日から出来る「ノート術」に関してお伝えします。
目次
RTICノート
筆者も子供の時からノートを取る事が下手で下手で仕方なく。自分のノートを読み返してまともに参考に成った試しが無く…
社会に出て数々の顧客との面談を重ねて行く中でノート作りが下手な自分でも出来る簡単で、効率的で、効果的なノート作りを研究して、様々な書籍なども参考にしながら、自分風にアレンジして現在のスタイルに仕上がって来ました。この機会にご紹介したいと思います。医師を顧客にするMRをイメージしてお伝えしますが、誰でも活用頂ける方法になっています。
ご用意頂くのは何処にでも有るノート一冊。
真っ新なノートの見開き2ページを活用して4つのノートテクニックを集約して顧客との面談準備、顧客から得た情報の整理、学習内容の整理、得た情報を自然な流れで次のアクションに移して行く事が出来ます。筆者オリジナルの呼び名としてRTIC(アールティック)ノートと呼んでいます。
筆者の場合、KOKUYOの方眼のA4ノートを愛用してますが、出来ればA4以上をお勧めします。では早速各論に入りましょう。
① Reflection note
Reflectionの意味は直訳で反射ですが、反省、振り返り意味も持ちます。
要するに振り返りノート術です。
見開き左上に4つのボックスを作ります。左端からノートの中央に向かって4等分にして下さい。左から前日に起きた出来ごと→発見した事→改善点→すぐにやる事の箱を作ります。出来ごとが複数有る場合は列を増やすのも良いでしょう。
思い付くままに書いて良いと思います。最後にやる事がいくつか出て来たら、今の自分にとって優先的に取り掛かるべき事柄を選び順番を付けます。これだけです。非常に簡単ですよね。
シンプルですがreflectionノートの凄い所は、PDCAサイクルと言われる計画→改善行動の流れをデイリー単位で高速回転させる事に有ります。違いは計画に対してどうかでは無く、昨日に対して今日どうするか?に成ります。
このreflectionノートを毎日回すだけで仕事のスピードが圧倒的に上がります。また些細な出来事に目を向ける癖が付き、閃きや企画提案力も研ぎ澄まされると思います。
② ToDo note
ToDoノートはその通り、やる事を管理するノートです。筆者もスケジュールはもっぱら電子的に管理してます。OutlookやGoogleカレンダーを活用してスケジュールはコントロールしてますがそれはFIXされた大枠のタスクです。仕事は日々移り変わります。デイリー単位のタスクは都度流動して行くのでノートに記載して消込みながら管理しています。
使い方は①のreflectionノートの下にそのままAM、PMで上下に分割するだけ、2日分程度準備しても良いかもしれません。簡単です。
そこに元々FIXされているタスクをまず記載します。そしてreflectionノートで新たに出て来た優先度の高いやる事をハメ込んで行きます。時間も明確に記載します。
今日やれる事を今日やる。常に優先順位を付けて管理できる事がToDoノートとreflectionノートのシナジー効果です。
筆者は①②の作業を朝やります。良く前日にやる方が良いと言います。ごもっともですが朝で大丈夫です。仕事が終わったらお酒の優先順位が最上位ですから。
ちなみにreflectionノートとToDoノートは週間単位で作って見ても良いかもしれません。筆者も週間単位で良く管理します。
③ Interview note
次にinterviewノートです。ここで核心の顧客との面談を想定したノート術に成ります。ノート見開き右のページに縦3本のラインを引きます。幅は5:3:2くらいでしょうか。
左から事前準備、メモ、疑問点の流れで用意します。
事前準備の箱は、上の段に顧客の情報を整理します。今回は医師を対象としていると想定しますので、施設名、医師名、時間、施設規模、クリニカルインジケーターなどに加え、現在の製品使用情報、競合シェア、などをメモしておきます。更に治療戦略や製品選択の基準等、仮説と成る医師の考えをメモします。
その下に面談の流れを記載します。まずは面談の目的とゴール。次に面談がスタートしてからどの様なストーリで会話を進めて行くのか記載します。面談者が複数人居るなら役割や、時間の配分等もメモします。
面談がスタートしたら、図や文字を使ってメモ欄に医師の言葉を残して行きます。その場で気が付いた疑問や質問は直ぐに右端の疑問欄にメモし。面談の中で質問して解消します。面談の中で気が付かなかった疑問は翌日以降のreflectionノートに転記して行きます。
④ Cornell note
最後にCornellノートです。Cornellノートは、1989年にアメリカの名門、コーネル大学の学生のためにWalter Pauk氏が開発したノート術です。
ノートを独特の形で“仕切って”使うこのノート術は、その利便性の高さから“the best note-taking system”と呼ばれ、世界の有名大学、研究機関でもっとも多く導入されるメソッドになっています。
Cornellノートを日常的に必ず使うかと言うとそうでも有りませんが、講演会や論文読み込みなどの際に活用出来ます。
使い方はinterviewノートの下に下記図の様な箱を用意します。一番大きな箱に学んだ情報をツラツラとメモします。次に中でも重要なキーワードを抽出してキーワード欄にメモします。最後にサマリー欄に学んだ内容を要約する事で完成です。サマリーは20文字くらいに集約すると理解が深まります。
終わりに
ここまでご紹介した内容は一般的に活用される内容では有りますが、筆者がこれまで何百人の顧客と面談し情報収集する中で、得た情報を最大限活かす為にアレンジして来たフォーマットです。よってマーケティングリサーチする活動が軸に成ったオリジナルのノート術に成っていると思います。
後は皆さんがオリジナルで自分の仕事に合わせて他のノート術も参考にアレンジされる事が最高のノート術を完成させる最短の方法ではないでしょうか。
これでノートの準備が整いましたね。
次回は顧客との面談での顧客の脳内情報探索を行う、具体的なメソッドをお伝えします。
ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。