企業分析 内資企業

【2020年最新】内資系製薬会社 売上高ランキング-後編-

投稿日:2020年6月27日 更新日:

近年製薬業界は医療費抑制政策の影響を受け、先進国の中でも唯一マイナス成長が予測されています。では内資系製薬会社すべての企業においてそれが当てはまるか否か。

【2020年最新】内資系製薬会社 売上高ランキング-後編-では過去のCAGR(年平均成長率)に着目して内資系製薬会社上位10社の将来性を読み解いていきたいと思います。

前編はこちら:【2020年6月最新】内資系製薬会社 将来性 ランキングTOP10-売上高前編-

CAGR(年平均成長率)ってなに?侍解説

一定期間の成長率(対前年比)を1年あたりの数値を表したものです。例えばX年に100万円があり、5年後に200万円になっていたとすると100万円÷5年で1年あたり約20%の成長といったイメージです。

実際には20%というのは誤りで、1年あたり14.9%伸びると5年後には200万円になるといった計算になります。

細かい計算はまた機会があれば解説したいと思いますが、ここではある期間でどれだけ成長しているかの指標くらいに捉えてもらえればと思います。

データを見るポイントとしては、過去にどれだけ成長をしてきたのかの事実に着目し、その数値から将来性を予測することです。過去の数値と未来の数値は必ずしも一致しませんが、トレンドを予測することはできます。特に製薬業界の場合には特許切れにより、急激に売上が落ちることはあっても、急激に(1000億円単位/年で)売上が伸びることは多くありません。

医療はなくせないものなので、基本的には景気の影響を受けにくく、売上の変動が少ないと考えてよいと思います。

内資系製薬会社TOP10CAGR2017-2019(年平均成長率)ランキング

ここでは2017-2019の3ヵ年における年平均成長率をみていきます。過去どれほど成長を遂げてきたか?データを元に確認していきましょう。

1位:武田薬品工業

シャイアーの買収もあり、売上高、成長率ともに大きく伸びています。その点を除くと大きく下がりますが、それでもなお成長し続けています。売上規模では国内で圧倒的な位置にいるので、企業規模という面では将来性の高い企業の一つといえます。

2位:中外製薬

成長率では実質1位の国内製薬会社といえます。武田薬品工業を除けば、上位10社の中で唯一二桁成長となり、売上高も3年間で約2000億円も伸ばしています。今後の成長も期待できます。

3位:エーザイ

見事なV字回復を辿っています。売上高は過去最高まで限りなく近づき、営業利益、最終利益では過去最高を更新しました。今調子のよい製薬会社の一つといえ、次の成長に向けた投資も積極的に行っています。認知症治療薬の開発が成長性・将来性を大きく左右することになります。

4位:大日本住友製薬

北米での成長が大きく業績に寄与しています。堅調に成長してきたといえるでしょう。海外戦略が功を奏したと考えられます。次世代製品の開発が次の成長に向けたカギとなります。

5位:大塚HD

中外製薬と同じく2000億円規模で売上を伸ばしました。大型製品の特許切れから見事に主力製品の移行ができたといえます。新たにノバルティス社と大型新薬のコプロモーションが開始されることもあり、循環器領域でのプレゼンスが高まっています。

6位:第一三共

近年成長率は横ばいとなっています。大きな成長はしていませんが、大きく崩れることもありませんでした。プロダクトポートフォリオが安定的なため変動を抑え、着実に歩んでいると考えられます。将来的にもこの安定感は続くことが予想されます。

7位:アステラス製薬

僅かながらマイナス成長となっています。しかしながら主力製品の特許切れを、大型製品の台頭により回避することができた、売上規模を保つことができたと捉えることができる過去3ヵ年だと考えられます。自社品の割合も高まってきていることから、アステラス製薬独自の強みが作り上げられてきたのではないでしょうか。

8位:塩野義製薬

革新的な薬剤の開発により、大きな成長を期待されましたが想定外の事象も起き予想を上回る成長は遂げることができなかったと思われます。この数か年で感染症領域でのプレゼンスは飛躍的に高まりました。強みを生かした戦略により、独自のポジションを築き上げていくと予想されます。

9位:田辺三菱製薬

主力製品の伸びがなく、ロイヤルティの未計上分件もありダウントレンドに入っている。期待された植物由来のワクチンもペンディングになるなど、現時点では明るい話題に乏しい状況が続いています。起死回生なるか。

10位:協和キリン

主力製品の特許切れが響きマイナス成長となっている。バイオセイムの発売により若干持ち直してはいるが、まだまだ予断は許さない状況が続いている。しばらく我慢の時が続くと予想されます。

内資系製薬会社TOP10 CAGR2017-2020(年平均成長率)ランキング

では次に2020年度の業績予測値を加えたデータをみていきます。

1位:武田薬品工業 2位:中外製薬 3位:エーザイ4位:大日本住友製薬 5位:大塚HD

6位:第一三共 7位:アステラス製薬 8位:塩野義製薬 9位:田辺三菱 10位:協和キリン

20年度の予測を加えても順位に変動はありません。中外製薬は未だ二桁成長となっています。多くの企業が大きく成長していないことがわかります。業界の構造的に難しい局面にあります。そのような中でも力のある(製品力の高い)一部の企業は成長を続けています。

企業の将来性を図る上で、売上データからはこのように読み解くことができます。過去のトレンドから将来を予測する。将来性のある製薬会社を見つける一つ手段となるでしょう。

情報が多くなったので、次回番外編としてここまでのまとめ記事をアップします。

-企業分析, 内資企業
-, , , , ,

執筆者:

関連記事

【2025年将来性予測】これからの製薬業界はどうなる?

先日のロリーマシロイの記事(武田薬品の退職金はおいくら?)やトリプルの記事(IMR(独立型MR)の可能性)もあったように、今製薬業界は大きなうねりの中に入っています。 元々この10年間で低分子化合物( …

no image

【ニプロ株式会社の将来性:2020年10月更新】MedTech journey 〜

MedTech journeyと題して今注目の医療機器開発企業、医療系ハイテク企業の現在と将来性をトリプルと一緒に見て行きましょう! 今回はニプロ株式会社に注目したいと思います。 ※MedTech:M …

【中堅内資系製薬会社】売上高ランキングTOP11-20

これまで企業特集、ランキングシリーズともに内資系製薬会社上位10社を対象にしてきました。ただ実際には数多くの製薬会社が日本にはあります。 当ブログでは包括的に企業の特集を組み、売上高や開発状況など様々 …

参謀侍が見た製薬会社の動向と将来性 “アステラス製薬株式会社”

アステラス製薬の名前の由来知っていますか?「明日を照らす」そんな製薬会社に将来育っていくことを目指してつけられたようです。まさに今の時代このアステラスの名前のように自身の将来性に希望をもっていきたいも …

【2020年9月更新:参天製薬】参謀侍がみた製薬会社の動向と将来性

製薬会社の動向と将来性を参謀侍が解説するシリーズ第13弾になります。 今回は眼科領域に特化している参天製薬の特集となります。 これまで目薬を差したことがある方は、必ず参天製薬製を使ったことがあるはずで …