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【最新】「医療機関に起きる変化:2020年10月更新」ヘルスケアマーケターの目

投稿日:2020年10月31日 更新日:

2020年も残り2ヶ月と成りました。本当なら2020年はオンリンピックが開催され、世界各国からアスリートが集まり日本は注目の的だったはずです。外国人の来日をきっかけに医療にも様々な変化が起きていたかもしれません。新型コロナウィルスによる影響で2020年はヘルスケア業界を取り巻く環境は大きく変わりました。その多くが不可逆的な変化と見ても良いでしょう。

今回は2021年を前にヘルスケア業界、特に医療機関に起きそうな3大変化をトリプル目線で予想してみようと思います。

2020年を新型コロナで振り返る

・1月 WHO 新型コロナウイルスを確認
・1月 日本国内で初めて感染確認 武漢に渡航した中国籍の男性
・2月 乗客の感染が確認されたクルーズ船 横浜港に入港
・2月 国内で初めて感染者死亡 神奈川県に住む80代女性
・3月 日本国内の新型コロナウィルス 感染者2000人を超える
・3月 志村けんさん死去 新型コロナウイルスによる肺炎
・4月 新型コロナウィルスで緊急事態宣言
・5月 緊急事態宣言 全面解除
・6月 県をまたぐ移動の解除
・6月 世界の感染者 1000万人超える
・7月 世界の死者 60万人超える
・8月 世界の感染者2000万人を超える
・8月 4-6月期GDP 年率-27.8%
・9月 世界の製薬会社など9社が新型コロナワクチン開発で“安全最優先”を宣言
・10月 日本国内の感染者が10万人となる


ざっくり振り返って見ても激動の1年である事を実感しますね。医療業界は特に新型コロナ対策に追われる一年だったと思います。私達ヘルスケア業界に身を置くビジネスパーソンにとっても同様でした。

医療機関を訪れる患者に関しては、汎用性の高い医療資材の出荷数をベースにした筆者の分析では、4月〜6月に患者数は大幅に激減。7月〜8月で徐々に患者数増加。9月〜10月で緊急症例は回復傾向、非緊急症例の回復は低迷。この様な傾向が有りそうです。

新型コロナの影響は2021年も続くと見て良いでしょう。長引けば長引くほど医療機関の経営状態に影響を及ぼす事は必須です。それでは新型コロナウイルスの影響で医療機関はどの様な変化があるでしょうか?

医療機関の3つの変化

① GPO(Group Purchasing Organization=共同購買組織)の加速

最初にGPO(Group Purchasing Organization=共同購買組織)の加速を予測します。GPOは医薬品、医療材料、医療機器その他のサービスを共同で購入交渉する仕組みです。

経営状態が悪化するとまず企業は何をするか?民間企業ならリストラ等の形で人件費削減を考えます。まずは固定費を削減しようとするからです。

一方で医療機関はそうは行きません。医療経営は医療従事者を抜きに出来ません。スタッフの入れ替えは有るとしても単純なリストラは難しい。ただでさえ、医師の求人倍率は6倍〜7倍とも言われます。看護師も同様です。医療機関にとって最も貴重なリソースが医療従事者を中心とした人材なのです。

そうなると、次に収益改善面でインパクトが有る事は、医薬品や医療機器の納入価格削減です。少し前に医療業界の4大卸売企業に公正取引委員会の強制調査が入った事例が有りましたね。JCHO(独立行政法人 地域医療機能推進機構 57施設)をめぐる共同購入に対する4大卸の納入価格の調整行為が疑われています。

医薬品の卸売企業は4大卸(メディパルホールディングス(HD)傘下のメディセオ▽アルフレッサHD傘下のアルフレッサ▽スズケン▽東邦HD傘下の東邦薬品)で市場の約70%を占めています。それでも利益率は極めて少ないわけですが。統合の果てにセリングパワーを高めた卸売企業に対して、医療機関側もJCHOの様な共同購入体勢を作りバイイングパワーを高めて対抗しています。それでも4大卸が暗黙で価格引き下げに抵抗すれば太刀打ちは難しいでしょう。

恐らく今回の強制調査の背景には、水面下での駆け引きの末行き着いた。来るべくして来た結果だったと思います。キーワードは交渉力ですが、経営状況に危機感を覚えた医療機関側が交渉力を高める手段としてGPOを取り入れる確率が高まると見ています。

アメリカでは全米の病院のほとんど(96~98%)がGPOを利用しています。日本ではまだまだですが、全国の急性期病院285病院(2020年7月現在)が加盟するNHA(一般社団法人日本ホスピタルアライアンス)が有名です。NHAは米国の大手GPOであるPremier社からの支援を受けており、圧倒的なバイイングパワーを誇ります。GPOで選択された医薬品、医療機器が契約期間中は優先的に使用されます。差別化が図れていない製品は自ずとGPOの交渉力に打ち勝てません。

今後は地域医療推進法人設立の加速も有り、GPOも益々発展して行くでしょう。その裏には外資コンサルが支援している事や、行政がサポートしている事が想像出来ます。今後は製薬企業や医療機器に関わる全ての企業がGPOに対する交渉力強化が必要に成るのではないでしょうか。

② SaaSの浸透

次にSaaSの浸透です。

SaaSとはSoftware as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の事です。もっと平たく言うとユーザーがネットワーク経由で必要なソフトウェア機能を活用出来るインターネットサービスです。特徴は①インターネット環境があればどこからでもアクセスできる②複数のチーム・複数の人数で編集や管理ができる。この2点でしょう。

身近な所では、例えばGmailなどのメールサービスや、ブログサービスが有ります。ビジネス関係ではMicrosoft Office 365 が代表的です。

民間企業では極々当たり前にMicrosoft Office 365を活用していると思いますが、医療機関では医療スタッフ一人一人にPC が支給されている訳でも無く、活用は少ないと思われます。最近オンラインで医療従事者との面談機会が多く成っていると思いますが、Microsoft Office 365の提供するオンライン会議システムTeamsの浸透が医療従事者の中では極めて低い印象を受けます。SaaSの浸透がまだまだである象徴的な事例です。

なぜSaaSの浸透を予測するかと言うと、これも経営効率化の面からです。医療機関はまだまだ「職人さんの集団」と言う面が強いでしょう。医療の特性上そう有るべきだと思いますが、経営の面で考えればもっと効率化出来る事が多いでしょう。

例えば人事面。現在の医療従事者の収入は年俸制と成っているケースが多く。評価もその専門性に応じて決まりますが、エモーショナルな評価が多く公平性に欠けると言う課題が有ります。民間企業の様な360°評価体勢やコンピテンシー評価などを加えた人事評価と昇給、昇格を連動させて公平性の有る人事システムに注目が集まっています。その様な場合も独自に人事評価システムを開発して導入するよりは、民間企業で実装され実績の有るHRシステムをSaaSで導入する方が良いよね?と言う事になります。

今後あらゆる面で民間企業では当たり前にSaaSが浸透し医療経営の効率化が加速するでしょう。実際、SaaSを提供する企業がこぞって医療機関をターゲットにしたビジネスを開発している様です。また医療機関側からも経営効率化を目的とした経営改善の動きは活発です。新型コロナは医療のデジタル化を一層加速させそうです。

③ M&Aの拡大

最後にM&Aです。

GPO、SaaSの拡大はグループ経営、院内経営とまだまだ狭い範囲の変化と言えるでしょう。しかしGPOやSaaSの加速がもたらす結果は格差を生み出す事と言っても過言では有りません。

例えば下記の様な事が起きます。

経営効率化、収益化が高まる事で利益UP→資金調達が可能、利益を再投資に当てる→最新設備の導入、労働環境の整備→医師や看護師などの人材獲得力(ブランド)を高められる→人材が集まる→患者や地域からの評判が上がる→医療圏シェアが上がる→経営効率化、収益化が進む。

GPOやSaaSなどの変化に失敗する医療機関は患者獲得競争に破れる事になります。結局は経営状態の悪化を招きます。

新型コロナウイルスは上記の様な事を図らずも証明しつつ有ります。新型コロナウイルスでゲートキーパーと言われる診療所、クリニックに来院する患者が減っています。恐らく多くの患者さん(潜在患者さん)は診療所やクリニックに行く事を我慢しているのでしょう。であれば重症化して緊急で運ばれる患者が増えるのでは?そう思うところが、今のところその様な傾向は全国的に見られません。この先数年観察する必要が有りますが。どうやら日本は過剰な医療行為を提供していたのかもしれないと言う多くの国民が感じていた仮説を証明してしまうかもしれません。

そうすると特に200床を超える様な医療機関がとるべき経営戦略は3つです。

①ゲートキーパー的な診療所、クリニックからの紹介率を高める。
②緊急度の高い症例を受け入れる専門性を強化する。
③経営効率を高める

上記の3つの戦略を究極まで突き詰めるとM&Aと言う事に繋がって行きます。紹介率を高めるにしてもクリニック・診療所、病院をバリューチェーンだとみなした時に、垂直統合してグループ傘下にいれる事で紹介、逆紹介効率を高めると言う戦略も有るでしょう。緊急症例の受け入れに関しても救急搬送、ウォークインどちらにしても医療圏を面でカバーできる立地に加えて専門性を分ける事でブランディングする、グループに無い専門性を簡単に入手する方法の戦略となります。経営効率化の面でも組織が大きければ大きいほどその効果は高まります。

現在の医療機関経営者の医師達も高齢化を迎えています。他の産業の中小企業同様に事業承継は大きな悩みです。その様な時代背景も相まって、M&Aが医療業界で加速して行く事に成るのでは無いでしょうか。

他の業界ですが、ニトリの島忠に対するTOBが話題に成っていますが、これもニトリとDCMの関東の商圏争いを中長期で争う中で起きているM&A案件でしょう。同じ様な事で今後大型のM&A案件が医療機関を中心として増えて来ると予測します。

まとめ

新型コロナウィルスは医療業界に不可逆的な変化をもたらしました。

感染リスクを恐れて、日常的にクリニックや診療所に行っていた患者さんや、潜在的な患者さんが減った状態が新しい標準になります。多くの医療機関で経営悪化が予測されます。経営効率化を検討する事に成るでしょう。

その結果多くの変化が生まれますが特に下記の3つの変化を予測します

① GPO(Group Purchasing Organization=共同購買組織)の加速
② SaaSの浸透
③ M&Aの拡大

この様な点からも医療業界で働く方々はどの様な影響が出て来るか、注視して行きたいところですね。トリプルの鳥の目、虫の目による勝手な予想では有りますが今後上記3つのキーワードご注目ください。

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