【ヘルスケアマーケターの目】とは
ヘルスケアマーケターのトリプルが最前線で得られる医療業界の最新の情報を基に、その時代に合った情報を独自目線で切るシリーズ型の記事です。
今回のテーマは「WEB面談術」
対医師向けWEB面談術も2回に渡り配信して来ましたが、今回でシリーズ完結です。早速行きましょう!
あなたの所属する会社がどの程度Web面談サポート体制を構築しているか解りませんので、この内容は、資金力が低く、これまで医師との関係構築も少なく、組織力も相対的に弱い。そんなWeb面談ハードルが最も高そうな、架空のヘルスケアベンチャーZ社をモデルに進めます。
目次
前提
仮想Z社は新たに進出する疾患領域でプロモーション活用を展開した実績は有りません。故に医療従事者との関係構築は出来ていません。そんな中、東京西部エリアを担当するあなたはWeb面談プロモーターの役割を上司より命ぜられました。東京エリアの医療機関の訪問規制率は95%とします。
チームメンバーは合計4名、あなたは自分自身が医師とのWEB面談を促進すると共に、チームメンバーへWEB面談を推進するタスクも有ります。取り扱う製品αはこれまでの既存製品と違う薬効特性を持つユニークな製品です。残念ながら認知度が低く認知してもらう事が最初のゴールです。
機会を作る
対象
対象施設の関係者の多くに自社製品αを認知してもらう事が最初のゴールです。その為に最適なアプローチ方法を考案したいですね。
① 院内関係者の関係性を見える化する
② アプローチ方法、PR方法に助言をもらえる人物を狙う
③ 治療戦略に対する決定権を持つ人物を狙う
④ 院内関係者に製品αを紹介する機会を作れる人物を狙う
①に関しては情報収集力です。情報収集のやり方は沢山有りますが、今は施設のHPも充実しています。また、院内に出入りする代理店もいます。情報を集められる力がその後の全ての行動を左右する根元です。
下記は過去の記事です。ご参考に
#6「情報収集」ヘルスケアマーケターの目~売れる営業編(MR)
提案準備
この時点で明確な目的とゴールが出来て居ないとどれだけ沢山の面談依頼をしても無駄です。とりあえずWEB面談して欲しいと伝えても、余程の暇人か、面談する事で逆にあなたに営業する目的がある様な人物で無ければ受けませんよね。最新情報提供は医師にとってメリットとなり得ますが、もっと深掘りしたいです。
① 面談目的、決めたい事、検討したい事を明確にする
② 相手にとって有益と成る事を明確にする
③ メールや電話では目的が果たせない理由を明確にする
ソーシャルスタイル分析で、指示型(ドライバー)と言われるタイプの人物は、無駄に時間を割く事を極端に嫌います。合理的で有益な事にしか時間を割きません。そして、往々にして指示型タイプが物事を決定するキーマンである事が多いのです。
連絡手段
連絡手段ですが、メール、電話、手紙など有るでしょう。時にはSNSも有効かもしれません。ここでの選択方法の基準は確実かどうかです。
見るかどうかも解らないメールや手紙を送って数週間待ったり。公私の区別が曖昧なSNSを活用するなら。電話がベストでしょう。施設代表の連絡先に問い合わせれば良いのです。上記の提案準備が出来ていれば堂々と電話しましょう。筆者なら電話を選択します。
この際に、面談の手段として対面が良いか?WEB面談が良いか?相手に選択させる事がポイントです。WEB面談がなかなか獲得出来ない方は「WEB面談させて下さい!!」と渾身のお願いを相手にして居ないでしょうか。
電話でキーマンと繋がった際に、今後の連絡手段として最適な方法を聞き出す様にしましょう。メールアドレスを知らなければここで確実に聞き出します。
面談当日
面談準備
ここで大切な事は、参加者です。
顧客との一対一なのか?複数人が入り込むWEB面談なのか?であなたの役割は完全に変わります。
一対一の場合。あなたが顧客に対して提案準備して顧客に依頼した項目を実行する役割に成ります。プレゼンター、ヒアリング、など有りますが比較的自分の考えで全てをアレンジ出来ます。
一方で、複数人参加する場合はどうでしょう。例えば
相手は診療科の部長、医長、レジデントの合計3名。こちらは、あなた、上司、本社マーケの3名だとします。この場合あなたは、ファシリテーター、モデレーターに成らなくてはいけません。あなたが場をしっかりコントロールしなければ最悪なWEB面談に成るでしょう。
面談準備それは、参加者の立場を考え面談時間、目的・ゴール、出せる資料の精査、など役割を明確にして流れを決め、スムーズな進行を促す事です。あなたが完璧なプレゼンを仕上げる事では無いのです。
出来れば面談前にこちら側の関係者をあなたが召集して、打ち合わせWEB会議を行う事をおすすめします。本社の立場を知る筆者の感覚ではこれができるMRは出来るMRの印象が残ります。
進行
進行はなんとなくの感覚で進める事は避けて下さい。相手の時間を奪っている感覚を持ちましょう。余談ですが医師免許所得10年程度の医師の場合時給10,000円が基準です。つまりあなたが医師一人の時間を30分取る事は5,000円以上の価値を求められる。そんなところでしょうか。
① アジェンダを作成する※インビテーションを送る際にも添付したい
② 面談の目的とゴール、所用時間を伝える
③ 面談の中で相手に求める事、行動してもらいたい事を明確に伝える
④ 相手の表情が読めず一方的な進行に成らない様に、一定の間隔で「〇〇先生ご質問無いですか?見直したい点は無いですか?」など声かけする
⑤ リアクションは1.5倍。ハッキリと
⑥ 質問が無い場合は、「私はこう考えてますが、〇〇先生はいかがですか?」と自分の思考の形跡を示しながら意見を伺う
⑦ 面談メモを簡潔に残す。顧客に対して当日、翌日には送る
⑧ クロージング。次回面談日の確約。次回面談までに相手に行動してもらう事の合意
書き出せばキリが無いのですが。上記は経験的に最も大切な事です。中でもクロージングで今後の面談をルーティン化させる事が何より大切です。ここで受け入れられれば今回のWEB面談は合格と考えて良いでしょう。
後詰め
後詰め(ごづめ)とは、先陣に対する控えの軍隊の意味で、戦国時代に使われた戦術的な言葉です。要するに後方支援です。MRは先陣。営業所、本社を活用する事が後詰めです。
今後はMRが単独で面会して医師と関係構築して担当製品の売上を上げる、シェアを高めると言う旧来のプロモーション戦略は減るでしょう。
企業はマルチチャネル 戦略を促進して、企業の総合力で闘う戦略を選択します。前の記事でも述べましたが、MRは数有るチャネルの一つにすぎません。しかし、単なる販売チャネルの一つで終わるか。マルチチャネル を束ねるスモールマーケターと成るかは。後詰めで決まると考えます。
① 面談後のレポートを作成して上司や本部の関係者と共有する。今回達成出来た事、今後の進め方のラフプランが有ると良いでしょう。
② 今後の進め方と強化した方が良いアプローチ方法を検討する。面談から判明した事をベースに企画を練る、修正する、様々な社内の関係者への協力体勢を依頼して強力なタスクチームを構築する
③ 自分のやり方を事例として、周りのチームメンバーやエリア外にWeb面談の活用経験を展開する。COVID19の状況では誰もが答えの無い中で試行錯誤しています。組織的にベストプラクティスを広めるには積極的な発信が大切です。
【業界最速】実践!対医師向けWEB面談術(中)〜ヘルスケアマーケターの目〜
まとめ
3回に分けて紹介してきたWEB面談術ですが、少しは参考にして頂けたのでは無いでしょうか?ここでご紹介した内容は現在進行形で筆者も研究し実践している所なので、生き物の様にこれからも進化して行きます。そして絶対の答えは無い事です。
しかし、WEB面談を可能にする技術は整い、COVID19が有った事で社会の状況としても受け入れ態勢が出来つつ有ります。こんな絶好の機会は無いと思って楽しんだ者勝ちです。確かに製薬業界は厳しいガイドラインが施行され、出来る事は限りなく少ないですが、だからこそ行動する人は差別化しやすく結果も出しやすいと考えます。
対面とWEBを上手に使いこなして医療業界を舞台にしたビジネスパーソンとして激レアさんに成って行きましょう。
ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。