ヘルスケア業界に身を置くマーケター”トリプル“が様々なテーマに対して独自目線で分析して行くシリーズです。では早速続き行きましょう!
前回は、MR(医薬情報担当者)をモデルにしたスモールマーケッターの3要素の情報収集についてご紹介しました。
今回は分析です。分析と行っても山のごとく方法は有りますが、4つの項目でご紹介します。MRならではの分析方法を見ていきましょう。
目次
分析編
④市場分析
分析ツールを活用してデータから課題抽出がゴール
MR活動の中で市場情報を独自に入手しつつ、それに自社製品の売り上げデータ、他社製品も含まれた外部データを組み合わせ分析する事です。出来るだけ論理的な方法が良いでしょう。筆者の場合はISOなどでも知られる、品質管理のQC(Quality Control)7つ道具などを活用して、定量情報と定性情報を使い分析しています。
⑤施設分析
MRの最大の強みが発揮される分析。施設を知る事がゴール
事前に情報収集した施設内のステークホルダー(関係者)の情報を基にディシジョンメーカー(決定権者)を明確にします。特に薬事審議会や、経営幹部会議のメンバーなのか?などが基本です。MRの方ならこの点は朝飯前でしょうか。
加えて施設が公表する統計データを確認して、外来患者数、紹介率、クリニカルパス利用率、平均在院日数、病床回転率などを分析します。分析は一般的なデータと比較する方法です。参考としては厚労省の統計データなどが有ります。その他もだいたいググれば参考データが出てきます。
参考:厚生労働省HP 医療施設(動態)調査・病院報告の概況
MRの仕事に必ずしも関連性が高いとは限りませんが、要はこの様なデータを基に医療従事者と会話出来る準備をする事です。質問の幅と深さの向上に繋がります。
また、DPCデータに基づく病院指標はどのDPC病院も公表する義務がある為、病院のHPを見れば確認可能です。そこで、診断群分類別患者数などを確認します。そこから仮説的に施設、診療科の課題を推察します。加えて診療科別の治療成績を公表している場合も多いので、診療科として何を売りにしてアピールしたいのか?今関心が高い課題、ニーズを推察しましょう。
⑥人物分析
人だから出来る事。相手を知る事がゴール
人は言動から4つのタイプに分類出来ると言われます。最も有名な考えが、アメリカ産業心理学者のデビッドメリル博士の提唱したソーシャルスタイル理論です。この理論などを活用してMRの顧客となる医師や看護師、薬剤師のタイプを自分なりに分析をします。これもある程度の訓練が必要ですが、早い段階でステークホルダーと関係構築する為に必要な事です。余談ですがこの分析に非常に長けているのが③のスーパーコミュニケーターのタイプです。
⑦ディスカッションによる分析
他者の意見を取り入れて確度を高める事がゴール
ここまでは個人作業で出来る事です。個人作業で分析しいくつか仮説を立案します。その仮説の中から取り組むべき課題の優先順位付けをして実行プランにする事が大切でしょう。
その時に他者の意見が入る事が良いと思います。自分だけの判断では見逃している点や、優先順位の付け方が誤っている可能性が有ります。特に上司の優先順位と部下の優先順位は往々にして異なる物です。チーム、上司、など自分の分析の納得感を確認する壁打ち相手を常に持つ事が大切です。スモールマーケッターは人を巻き込む力も高いです。全ては効率良く目的を達成する為です。
最短工数で攻める
細かい方法論は割愛しますが、課題を発見したら優先順位を明確にして、工数(やる事の数)を可能な限り少なく、楽に攻略する事の意識が大切になります。また、工数をかけても効果の少ない課題は思い切って切り捨てる取捨選択も必要です。
ここまでお伝えしてお気づきかと思いますが、MRだけの能力では有りません。ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)と言う事が伝わりましたでしょうか。
この力を高めれば、医療経営コンサルタント、医療専門キャリアコンサルタント、本部のマーケッターなど道も広がって行くでしょう。
まだ、情報収集と分析に不慣れなMRの方は、あれこれ考える癖が必要かも知れません。時には1日分析と仮説立て、優先順位付けに時間を費やす日が有っても良いかも知れませんよ。筆者の場合は長距離移動の車の中が考える場でした。このコロナはその様な意味でチャンスです。
次回は分析した結果を実行プランにして、効果判定する効果判定基準についてお伝え致します。これが最も重要かもしれません。
次回 効果判定
#8「効果判定」ヘルスケアマーケターの目~売れる営業編(MR)
トリプルの紹介
ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。