ヘルスケア業界に身を置くマーケター”トリプル“が様々なテーマに対して独自目線で分析して行くシリーズです。
前回の記事では、筆者の考える売れる営業さん4タイプの”スモールマーケター”の3要素をお伝えしました。今回は3要素を更に細かく10の項目に分類して今すぐに皆さんがチェック出来る様にします。
目次
3要素「情報収集・分析・効果判断基準」
この3要素。医師における治療戦略の組み立て方と同じです。まず病変をMRIやCTなどのモダリティを活用して情報収集。分析により責任病変を明確にして優先順位を定め戦略を組み治療。その後のフォローアップで効果判定しますが、癌治療で言うとClinically 基準なのかRECIST 基準なのかで判断が異なるでしょう。判断基準に明確な物が無ければ的確な次のアクションが出来ません。
例として医療行為を持ち出しましたがこれはコンサルの世界でも、弁護士の世界でも同じなのではないでしょうか。想像の域を越えませんが、皆さんどう思われますか?
そう。スモールマーケターの3要素はどの様なビジネスでも応用が可能な普遍的なポータブルスキル(持ち運び可能な技能)を示しています。そこにヘルスケアの要素を細かく組み込んだ10項目をお示しします。今回は情報収集に関してです。
情報収集
筆者の過去の調査ではこの情報収集が的確に出来ている方は、様々なチャネルを上手に活用している傾向が高いです。
① 二次医療圏単位で情報を収集
市場シェアに影響を与える要素を把握する事がゴールです。
都道府県単位での医療計画が策定され、一般的な医療行為は二次医療圏の範囲で施す事が目的とされています。10万人に1人などの希少疾患は例外ですが。二次医療圏を一つのクラスターと定めた時にリーダー的な医療機関とそれを補完する施設、診療所、調剤薬局の関係性を知る必要が有ります。そこに地域連携推進法人や、GPO(Group Purchasing Organization=共同購買組織)の影響力も念頭に入れて置くとベストでしょう。
② 院内情報を収集
院内シェア、影響力、関係性、根回しの仕方を把握する事がゴールです。
施設毎の情報収集ですが複数の診療科にまたがる適応症を持つ製品の場合、どの診療科で、なにが(薬剤・機器)、どの程度使われているのか把握する必要が有ります。そして非常に重要な事が医療機関の人間関係の把握です。例えば泌尿器科の主任部長と放射線科の部長は関係性が悪い。オペチームの中でも臨床工学士の影響力が実は高い。など筆者は情報を得てノートに相関図を書いたりしてステークホルダー関係マップを作成していました。
更に余力が有れば年間の症例数の推移、病床回転率、平均入院期間などからクリニカルパスが機能しているか?治療のどのタイミングで誰が関与しているか?なども知らべ施設的な課題の仮説を立てる事もおススメします。
③ 医師の脳内情報を収集
医師のニーズ、治療方針、選択基準、懸念点等を把握する事がゴールです。
これには少々訓練が必要です。世の中にはモデレーターと言われる職業の方々がいますが、対話の中で情報収集するプロフェッショナルです。このモデレーターの仕事に近い事を現場でやる事です。なぜその製品を選択するのか、どのタイミングで判断しているのか?何が課題と感じているのか?等ですが。この難し点は医師本人さえも必ずしも認識しているとは限らない点です。何となく、あまり意識した事が無かった。など言語化出来ていない事も多い為、面談者が一緒に考えながら顕在化させていく必要が有ります。
おわりに
今回は情報収集に関して3つの項目に分けてご紹介しました。
情報収集する為にはまずは情報を得るだけのコミュニケーションを必要とするでしょう。信頼を得られない中で情報は得られません。下記の4タイプのスーパーコミュニケーターやサブちゃんの様な活動も最低限必要と成る事はご理解下さい。次回詳しくご紹介する分析こそが②スモールマーケターと③や④のタイプを分ける要素です。
次回 分析
ヘルスケア業界でMR、新規事業開発、セールスマーケティングに従事。数多くのセールスマンとの関わり、MR研修やOJT等通じて実践的なトレーニングの経験も持つ。