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【キャリアシリーズ】#3 大企業→スタートアップへの挑戦

SaaSスタートアップを選び、医療分野でDXを実践するキャリア選択をした訳だが
そもそも医療にDXが必要なのだろうか?

医療とDXって結局なに?

医療分野に置いてもこの2年程でDX(Digital Transformation)と言う言葉が盛んに使われる様に成って来た。ただ、医療のDXに関して明確な答えを持つ人は少ない様に思う。つまりピンと来ないはずだ。

そのピンと来ない理由を下記の2点で掘り下げたい。

日本の医療コストパフォーマンス

日本医療のコスパは高い!まずこの認識は有るだろうか?

DXの目的は企業や国が競争上の優位性を確立する手段で有ると言われている。しかし、日本医療全体で見た時に他の国では出来ない程に圧倒的な競争優位を持っている。

医療費(インプット)と寿命(アウトカム)でコストパフォーマス
日本は圧倒的な優等生

・一人当たりの保険支出は4,519米ドル(2017年)*1 
・日本人の平均寿命83.9歳(2016年)*1*2

この2つの指標をベースに世界各国と比べると日本は超優秀で、寿命は世界1にも関わらず、一人当たりの保険支出はTOP16位。国際的に見ても極めて効率的な社会システムが構築されている。

世界からの評価の面で見ても、平均寿命のほか、死亡率(若年者、がん、循環器疾患、糖尿病、筋骨格系疾患、精神疾患、乳児、医療事故)などの項目でA評価を受け、総合評価でも17か国中1位を獲得している。*2

医療コストパフォーマンスを支える存在として日本の医療制度(国民皆保険制度)の存在を疑う余地は無い。
つまり日本の医療は世界がお手本にする程に優秀で有る。

*1 参考:医療関連データの国際比較 -社会保障の給付と負担、医療費、医療提供体制-
*2 参考:日本医師会 日本の医療の現状

人や動物に対して、人が提供する

医療は人や動物に対して、人間(医療の専門家)が医療行為を行う。当たり前の事を言っているが、DXのイメージがわき難い要因かもしれない。結局、人による医療行為は代替が極めて難しいと言われれている。

2013年に英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授が発表した論文(*3)でも医療行為に関わる仕事はAIに代替され難い仕事として述べられている。

代替されにくい仕事の例として、外科医、内科医、産科医、獣医、医療SW、理学療法士、看護師などが列記されている。

*3 Future of Employment: How susceptible are jobs to computerisation
参考:株式会社野村総合研究所 ニュースリリース2015 年 12 月 2 日

「医療をDX」を因数分解する事が大切

日本の実情を鑑みるに「医療をDX」は当てはまり難い。理由は、前述した様に日本医療は競争力がすでに高い。そして医療行為そのものがDXに向いてない。

しかし、医療=医療産業と捉え更に因数分解すると見えてくるDXテーマが有る。

例えば
・医薬品産業、医療機器産業などの周辺産業
・医療リソース(人、物、金、情報など)のロジスティック
・保険制度や社会保障制度
・病院経営やクリニック経営、薬局経営などの医療経営
・コミュニケーション手段、予約手段、スクリーニング手段などの医療行為のサポート

上記の様に分解してみるとDXが必要な部分が見えて来る。

待ったなし!医療収支の改善

7割が赤字経営の日本医療

日本の医療全体で見た時に、インプット(医療コスト)に対してアウトカム(寿命)が相対的に高い事は述べたが、医療機関に目を向けると7割が赤字と言われている。中でも400床以下の病院経営は厳しい経営状態に有ると言われている。

日本には約8,000の病院が有るがその7割が赤字経営。一般事業会社では考えられない事だが、医療法人の目的は営利目的ではないと言う、建前上は問題無いのかもしれないが。※DPC病院は令和2年4月1日時点では1,757、DPC準備病院は249病院有る

総合病院化の弊害

これから先の日本の医療を考えた時に大きな課題は、総「総合病院化」
超激戦区のエリアに、大学病院、県立病院、市立病院、独立行政法人、民間病院が林立し、その全部が同じ様な診療科を持ち、似たような治療をしている。その為に固定費は莫大に嵩む。

一方で、患者目線で全く違いが解らない。

病院を比べた時にその差が解らない為に、色々な症状を訴える患者が様々な病院に分散して罹り、結果としてその医療体制を確保する為に医療機関側としても固定費が高く成る。それでも国費(社会保障費)のバックアップでどうにかなって来た。それがこれまでの日本医療だろう。

参考:実践BCG流病院経営

Sustainableを実現するDX

高齢化、人口減少、地域格差が広がる日本の場合は、これまでの医療を維持して行く為にはどうすれば良いか?

上記が論点に成ると。DXの力を用いた解決策が必要になる。

改めて世界と日本の医療体制を比較すると
・日本は人口1000人当たりの病床数が約14床、一人当たりの保険支出が近しいフランスは7床と日本はフランスの2倍ほどの病床数が有る。
・長期療養型の病床数は約6倍日本が多い。
・長期居住型病床(介護老人福祉施設、介護老人保健施設)はフランスの1/2と少ない。

データに基づいて考えると日本の未来に必要な社会保障体制は、医療に向けて来たリソースを介護に転換する必要が有りそうだと考えられるかもしれない。また、人口統計や高齢化率を鑑みて病院やクリニックの統廃合、M&Aによりリソース集中も必要かもしれない。

その為にもデータに基づいて経営判断する力が求められる。
それが、日本医療における病院経営のDX

そんな、着眼点を持って医療のDXを考える事が大切だ。

To be continue


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トリプル
ヘルスケア業界でマーケティングの仕事に従事しながら、ヘルスケア業界以外のビジネスにも関わっています。 医療現場起点のインサイトを集めてブログ記事にします。どうぞよろしくお願いします。